実は、私くし事で恐縮ですが、実は弊社の代表者が「逆流性食道炎」になってしまったわけです。声帯のすぐ横に、悪性腫瘍(ポリープ)のようなものができ、初老の経験豊富な耳鼻科医院の院長先生から「癌研に行ってすぐに検査するように。」と言われたことから始まりました。ベテランが見間違えるのも当然です。画面に映し出された様子は、気味の悪い意地悪な花が咲いたような形状でした。
正直なところ、大学病院に行き、細胞検査の結果が出るまでの2週間は、生きた心地がしなかったそうです。大学の耳鼻咽喉科の先生も入院を前提に、それもできるだけ早く入院して、・・ということから、最初の検査用の細胞を採った日から、様々の検査をさせられました。気分は完全な咽喉ガン患者で手術対象者になってしまっていました。
もし、ガンでなければ、何んとしても再発させないようにしようと、心に誓っていたら、幸いにも願いが神様に通じたのでしょうか。咽喉ガンではありませんでした。
医師から癌ではなかったけれど、「逆流性食道炎」が原因で、胃酸の飛沫が咽喉部まで上がってきて、その飛沫の影響で炎症を起こしたのが原因です、と言われました。あの画面で見た時の悪性腫瘍のような炎症が、わずかな胃酸の飛沫で発症するとは、正直なところ恐ろしいと思いました。ここから、弊社と「逆流性食道炎」という病気の関係は始まったのです。
そして、医師からの生活指導として、食事に関すること、姿勢のこと、などがあった時に、「ファーラー体位」で寝ると良いと伺いました。
そこで早速に、電動ベッドを購入致しました。定価で36万円強の製品でした。ところが、実際に使用してみると、首を寝違えてしまって、昼過ぎまで首が痛くて、左右確認ができないため、自動車の運転もままならない程でした。
理由は簡単です。「ファーラー体位」という寝る時の姿勢について調べてみますと、この姿勢は、寝たきり老人の方の歯を磨いたり、飲み物を誤飲しないように飲ませたり、寝返りをやりやすくするためなどの理由から、用いられていますが、基本的には「逆流性食道炎」のための姿勢ということではないのです。なぜなら、就寝時には、通常のように水平に寝ることが前提になっていて、そのまま寝るという姿勢ではないのです。
「ファーラー体位」というのは、一時的に上半身を起こすための考え方であって、寝る時には水平にして寝るということが、当然のように前提条件になっています。
耳鼻科の先生は、ファーラー体位が良いと明解に言われましたが、実際に寝てみると様々の問題点がありました。毎日のように、首が痛くて耐えられず、高額なベッドは諦めました。そして、何とか安心して寝られるものをというところから、自分専用の物を作ろうと決心した次第です。
何しろ、ファーラー体位とか、すこし低いセミファーラー体位というのは、看護学的な意味の体位であって、目的が違います。誤飲防止などが本来の目的ですが、ベッドメーカー各社の電動ベッドの売り文句としては、テレビを見たり、読書をしたり、寝るまでのひと時を楽しむための機能としています。電動ベッドで上半身を起こすというファーラー体位は、患者であれば、誤飲を防止したり、寝返りを容易にするなどの介護が目的であり、健康な人の場合では、読書やテレビなどの目的であって、いずれにしても本当に寝るときには、平らにして寝るというのが正しい使用方法なのです。
どちらにしても、寝る時は水平であり、通常の平らな寝る姿勢と何一つ変わりません。それを傾斜させたままで寝てしまうと、とても不自由なのです。枕も下がりますし、布団や毛布も下がってしまい、冬は寒くて起きてしまいます。何とかならないものか、イライラしてしまうぐらい辛い日々でした。そこで、一念発起して自分専用のマットレス作りが始まったわけです。
最初に「逆流性食道炎」という病気を発見して下さったのは耳鼻科の大学病院の先生でしたが、「逆流性食道炎」という病気は、消化器内科の専門領域であることを知りまして、専門医の先生に、ご指導を仰ぐことに致しました。偶然にも、これまでに4万例もの内視鏡診断をされてきた超ベテランの先生に巡り合うことができました。
そして、逆流性食道炎は、飛沫が上がってくること。病態と病状が一致しないこと。診断方法にも様々の方法があることなど、本当にご丁寧にご指導頂きながら、弊社の試行錯誤にもお付き合い頂き、約1年間の試作とテストの結果、やっと満足できるレベルのものになりました。その間、周囲の人々の中にも、逆流性食道炎の患者の方々がいらっしゃって、皆さんもテストと試作に参加して下さって、尚且つ、ご自身の寝具として購入するから、より良い物にしましょう。という非常に積極的で率直なご意見を頂くことができ、全員が納得できる究極の寝心地という、単なる医療的な意味合いだけでなく、披露回復やストレスの解消という、寝具として本来の機能、<熟睡>のために一切の妥協がない、参加者全員の自分で長年使用できる完成度の高い製品というレベルの製品になりました。
そして、ご協力下さった周囲の人々と一緒に製造し、自分達で活用しようとした時に、噂を聞いてお問い合わせ下さった方が出てきたりしました。そして、ひょんなことから、特許事務所の先生にご相談させて頂き、調査したところ、「これまでに同様のものが特許申請されている案件がなく、間違いなく特許申請できますよ。」とお教え頂いて、気が付きましたら、製品化してひとりでも多く、この病気で悩んでいらっしゃる方々に、お分けした方が良いという結論に達して販売することとなりました。